パティシエになりたい

製菓学校に通った方がいいのか??

パティシエになりたい人の悩みとして、この質問も本当によくある質問なんですよね。


正直なところ、製菓学校を経て就職するのか、未経験ですぐ就職するのか、どちらが正しいということはありません。考え方は人それぞれだと思います。

ここでは、私個人の意見として、お話しますね。
あくまで、どちらが正しいというのは決められないと思っています。

結論から言うと・・・


私個人の意見としてましては、製菓学校には通った方がいいと思います。

でも、条件付ですね。就職する地域などを考慮して、その地域で卒業生を多く出しているような大きな学校であれば通う価値は大いにあると思います。

理由は大きくわけて3つです。


ひとつずつ、紹介していきま〜す☆



同じ基礎技術


まず1つめ!!

これは、私自身がそういった大きな製菓学校を卒業して、就職して、お店でそこそこのポジションで仕事をしていく上で実際に身に染みて感じたことです。

社員が10名、アルバイト10名くらいの規模のお店でセカンドをやっていました。セカンドですが、シェフパティシエは現場には1日数時間くらい顔を出す程度で、実質の現場責任者的なポジションでした。

社員の8割くらいは私と同じ学校の卒業生でした。私が卒業したのは辻製菓専門学校という有名な学校です。みなさんも一度くらいは聞いたことあるでしょ♪

後輩(部下)に仕事を教えていくなかで、学校で学んだ基礎が同じだということで、余計なことを教える手間が省けるんですよね。

また、学校でこれだけは習得しておきなさいというスキルが共通するので、学校と同じだ、もしくは学校ではこうだったけどこの店では、この部分だけがこうなっていると教えるだけで、新人でもすぐに戦力として考えやすいです。すごい仕事を教えやすいんですよ。

些細なことに思われるかもしれませんが、常に多忙なパティシエにとって、この小さな差が仕事の段取りとして本当に大きな差となって現れてきます。ましてや、かかえる部下の数が多くなるとなおさらです。

あなたが就職した先の上司が同じ学校の卒業生ということも充分考えられますよね。学校にいっていないスタッフに1から全て教えるのと、同じ学校を卒業したスタッフに少し教えるだけで同じ仕事をやってもらえるなら、その上司や先輩も、忙しいときにはついつい同じ学校の卒業生に仕事をふってしまうものですよ。

言い換えると、同じ学校を卒業しているというだけで仕事をふってもらいやすいということです。

由来、歴史、科学的観点などの知識

2つめの理由です。パティシエとしての価値はお菓子を作るだけではないと私は考えています。お菓子に関する歴史であったり、材料の特性や旬、産地。または、材料の製造工程や科学的な目線からの分析など、いわゆる机上で学ぶようなことを知っているか知っていないかでパティシエとしての価値は大きく変わると思います。この知識がないパティシエは、お母さんがレシピ本を見て趣味でお菓子を作るのと、さほど変わらないレベルだと思います。
また、材料を科学的に理解することで、仕上がりが思うとおりにいかない場合の原因分析などがスムーズです。まわりにフォローをしてくれる先輩やシェフがいる場合は、聞けばその場では解決できるでしょう。しかし、あなたもいずれは教える立場になり、お店のトップになっているかもしれません。聞く人もいない、自分の経験だけでは解決できないトラブルも、科学的な知識があれば原因分析ができる可能性が高くなります。
知っていて損なことは1つもありません。仕事に疲れて家に帰ってから、机にむかってお菓子の歴史や、材料の勉強もこなせる人はなかなかいないと思います。ましてや新人のうちは特に体が慣れていないので、すぐに寝てしまうと思います。製菓学校に通い、お菓子作りの基礎と机上の勉強に励むことをお勧めします。

また、飲食業において最も重要な衛生の勉強も学校では徹底的に教えてもらえます。


人脈

最後の3つめ。
これは、もっとも大事なことかと思います。
それは、人脈的なことです。
製菓学校に通う人は、全てではないですが、たいていはお菓子に関わる道に進むと思われます。

出世のスピードや目標は、人それぞれ違いますが、遅かれ早かれ、同じような道を進みます。
新人時代から中堅時代、ゆくゆくはシェフパティシエやオーナーパティシエになっていく。
同じように学校に通い、友人も同じように就職し、同じように成長していく。

パティシエは本当に過酷な職業です。憧れのパティシエとして就職しても、そこからも悩みはつきません。
同じ時期に学校を卒業し、同じ時期に就職し、友人達も同じように何かに悩んでいるはずです。
そんなとき、励ましあえる仲間がいることはとても重要なことです。また、思わぬ解決策が見つかる可能性もあります。新人時代は励ましあっていた仲間も、いずれ中堅を経てお店のトップとなっていくわけです。製菓学校時代の友人もどこかのお店でシェフパティシエになっているかもしれません。自分の知らない斬新なお菓子を作っているかもしれません。友人として、レシピを交換したり、スタッフ同士の交流をはかったり、業者からの仕入れ値の情報交換をしたり、業界のトレンド情報を教えてもらったり、あなたがパティシエとして成長すればするほど人脈の重要性が増してきます。


まとめ

学校に1年通うとなると、何か遠回りをしたような気がしてしまいます。
でも、学校で学ぶことの中には現場では学べないこともたくさんあります。
卒業すれば、あなたも現場に出るのです。現場で学べることは、1年遅くなっても学べます。
学校で学んだ基礎があれば、1年の遅れはすぐに取り戻せます。むしろ、3年後5年後には、学校で学んだ基礎があるかないかで、パティシエとして大きな差となって現れると私は考えます。
もちろん、学校に行かずとも自身で努力し立派なパティシエになる人もたくさんいます。

でもやはり、同じ志を持つ仲間、同じように成長していく仲間がいるということは、大きな心の支えになります。
お金はかかりますが、得るものは大きいと私は考えます。


ひとまず、いろんな学校の資料請求をして、体験入学などに参加してみるのがいいと思います。ほとんどの学校が、資料請求も体験入学も無料で受け付けています。お菓子が好きなら、入学するしないは別として参加すると単純に楽しいですよ。